株式会社アトムはコロワイドグループの一員として、東北・北関東・東海・北陸地区を中心に飲食チェーンを展開しています。ブランドの一つ「ステーキ宮」は1975年創業のステーキ&ハンバーグレストラン。Vポイント提携先向けソリューション「QSCリサーチ」を活用し、顧客満足度向上に挑戦しています。紙アンケートからデジタルへ転換し、レシートクーポンのQRコードから集まる"生の声"をもとに現場と本部が連携。事例共有や表彰で従業員の意欲を高め、サービス品質を底上げする取り組みを加速させています。(2025.12.18up)

QSCリサーチとは?――顧客満足度を"見える化"する仕組み

QSCリサーチは、CCCMKホールディングス(以下、CCCMK)がVポイント提携先に提供する顧客満足度調査サービスです。「QSC」とはQuality(品質)・Service(接客)・Cleanliness(清潔)の頭文字を取ったもの。全国107店舗(2025年9月時点)を展開するステーキ宮においては、おいしさ(味の満足度)、ボリューム(量の満足度)、接客(スタッフの対応)、スピード(提供までの時間)、清掃状況(店内の清潔さ)の5項目の評価について可視化に取り組んでいます。
店舗での会計時にVポイントカードを提示したお客さまへランダムにレシートクーポンを発券。お客さまは券面に記載のQRコードからアンケートに回答いただくことができます。店舗はリアルなお客さまの声を収集でき、お客さまはアンケート回答により抽選でVポイントがもらえるため、企業にもお客さまにも喜ばれているサービスです。

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Vポイントカードを提示するとアンケートページのQRコード付きクーポンがランダムで発券される

紙アンケートからの転換――ステーキ宮におけるQSCリサーチの重要性

ステーキ宮では、2018年にTポイント(現在のVポイント)を導入し、顧客満足度向上の取り組みを積極的に進めています。2020年から「QSCリサーチ」を本格導入し、以降は毎月調査を実施。継続的にお客さまの声を店舗運営やサービス改善に活用しています。

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ステーキ宮は2025年に創業50周年を迎えた

株式会社アトム 第1営業本部 ステーキ宮第2営業部 部長 嶋田 知道 氏:
「QSCリサーチ導入前に実施していた紙のアンケートはテーブル設置型で、回答も少なく、集計もアナログで大変でした。特典もなかったので、お客さまもなかなか回答してくれませんでした。QSCリサーチ導入後は、会計時に直接ご案内することで回答数が大幅に増え、毎月3,000~4,000件の声が集まるようになりました。現場の実感は全然違います。」

QSCリサーチの各項目は5段階評価でスコア化され、店舗ごとに集計することができます。他店舗との比較はもちろん、自店舗のスコア変化などを定量的に追うことができます。さらに、フリーアンサー欄で寄せられる「生の声」は、現場改善に欠かせない情報源になっており、スタッフの意識変化に繋がっています。

嶋田 氏:
「QSCリサーチにはお客さまの本音が詰まっており、全従業員が目を通して改善アクションを決めています。アルバイトやパートさんまでお客さまの声が届くようになったのは本当に大きいです」

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株式会社アトム 第1営業本部 ステーキ宮第2営業部 部長 嶋田 知道 氏

事例共有と本部連携が生む改善サイクル――現場の声を企業の力に

QSCリサーチの結果は、毎月の「事例共有会」で活用されています。70~80名の店長など従業員が参加する場で、スコア上位の店舗が改善事例を発表し、現場の学び合いを促進しています。また、半期ごとに実施しているスコア上位店舗の表彰式は、モチベーション向上に大きな効果を発揮しています。

株式会社アトム 第1営業本部 ステーキ宮第1営業部 部長 田中 紀信 氏:
「発表の機会が現場の活性化につながっています。表彰店舗が自店舗に近いほど、エリア内の店長の興味も高くなります。表彰状を飾る店舗も多く、店長やスタッフの誇りになっています。『次はうちも!』という競争意識がサービス品質の底上げにつながっています。」

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株式会社アトム 第1営業本部 ステーキ宮第1営業部 部長 田中 紀信 氏

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QSCリサーチ上位店舗に贈られる表彰状。店頭や事務所に飾っている店舗も多い。

さらに、QSCリサーチの結果は本部でも活用され、企業としての意思決定につながっています。

嶋田 氏:
「例えば、肉の硬さについてお客さまからご意見が挙がった際には、店舗だけで対応するのではなく、商品調達部門に集計結果を提出しました。"お客さまからこういった声が何件も上がっています"と具体的なデータを伝えることで、実際に肉の仕入れや調理方法の見直しにつながったこともあります。」

購買データの連携とQSCリサーチの未来――より深い顧客理解と満足度向上へ

QSCリサーチは、Vポイントの購買データと連携させた分析が可能です。ステーキ宮では、性年代による属性分析に加え、直近のステーキ宮の利用状況を基に設定した顧客ランク(ヘビー・ミドル・ライト等)による評価分析を行っています。

嶋田 氏:
「ランク別評価はメニューの内容やボリュームを変えた際に大変参考になります。変更後も継続してご注文いただけそうかなど、各ランクのお客さまの反応は注視しているポイントです。」

今後、購買データとQSCリサーチの結果を掛け合わせることで、より精緻な分析や商品開発への活用が期待されています。

株式会社アトム 第1営業本部 ステーキ宮第3営業部 部長 竹岡 一也 氏:
「2019年のコロナ禍以降、人々のライフスタイルは変化し、ステーキ宮の顧客層や利用傾向も変化しています。今後は、過去データとの比較や属性分析を深めることで、より的確なメニュー開発やサービス改善につなげていけるのではないかと思います。」

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株式会社アトム 第1営業本部 ステーキ宮第3営業部 部長 竹岡 一也 氏

ステーキ宮のQSCリサーチは、現場改善とスタッフのモチベーション向上を支える仕組みとして進化を続けています。今後は質問項目のバージョンアップやデータ活用の強化を通じて、顧客満足度を一層高める取り組みを進めていく予定です。

嶋田 氏:
「QSCリサーチのバージョンアップへの期待も大きいです。今後もCCCMKと一緒に、より良いサービスを作っていきたいですね。」

CCCMKは、データ活用を通じてVポイント提携先の本業を支援し、現場改善と顧客満足度向上に伴走しています。今後も提携先とともに、より豊かで価値ある顧客体験の創出に取り組んでまいります。

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左から)CCCMK コンサルティング事業第1 アカウント第2 伊藤 顕洋・財津 涼子、株式会社アトム 田中氏・嶋田氏・竹岡氏

ステーキ宮 公式サイト:https://www.miya.com/

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